ナチュラルハイジーンの哲学と酵素栄養学を基にアメリカで発祥した「ローフード」と、東洋・陰陽思想に基づく日本発祥の「マクロビオティック」。
どちらも一種の食生活ですが、食べられる食材や調理法、メリット・デメリットが異なります。
ローフードとマクロビオティックの違い
- ローフードは生野菜・果物・非加熱推奨
- マクロビオティック=加熱推奨
ローフードは生野菜・果物・非加熱推奨
ローフードとは、ロー(raw=生)+フード(food=食べ物)で、生野菜やフルーツなどの食材を中心とした食事法です。
生きた(=生命力に満ちた)食べ物という意味で「リビングフード(Living food)」とも呼ばれます。
「揚げる」「焼く」「炒める」「オーブンで焼く」などの高温加熱をせず、加工や精製をしない生に近い状態で食べることを推奨しています。
マクロビオティック=加熱推奨
マクロビオティックでは、食材を陰性、陽性に分けて、食材の組み合わせや調理法を使い分けることで、陰陽のバランスを保ちます。
生野菜やフルーツは「身体を冷やす作用が強い」として、避けられる傾向にあります。
マクロビオティックの調理法は基本的に「火を通す」ので、ローフードとは真逆の食事法だと言えます。
メリットとデメリット
- 摂取できる酵素、ビタミン量に差がある
- 生野菜は身体を冷やす
- 使用できる食材・調理法が限られる
摂取できる酵素、ビタミン量に差がある
ローフード……非加熱で酵素やビタミン、ミネラルがたっぷり取れる。
マクロビオティック……加熱調理で栄養が失われやすい。
ローフードを実践するメリットは、生野菜や果物に含まれる酵素やビタミンをたっぷりと摂取できること。
酵素には肌のターンオーバーを促進する体内の代謝酵素を活性化させる作用があります。
ただし酵素は熱に弱く、60~70度で加熱をすると失われてしまいます。
マクロビオティックのように果物少なめ、加熱調理が基本の食生活を続けていると肌荒れや体調不良の原因にもなります。
また野菜のビタミン、ミネラルの栄養や食物繊維は水溶性が多く、茹でたり、蒸したりすると、栄養が水に溶け出してしまいます。
野菜や果物のもつビタミン、ミネラル、食物繊維を残さず摂取したい場合は、ローフードの方が向いています。
生野菜は身体を冷やす
ローフード……加熱をせず生野菜中心なので身体を冷やしやすい。
マクロビオティック……陰陽思想に基づく加熱調理で生野菜を食べない。
キュウリやナス、トマト、スイカなどの夏野菜は、水分が多く身体を冷やす作用があります。
ローフードのように生野菜や果物中心の食生活をしていると、どうしても身体を冷やしやすく、冷え症などが起こる可能性もあります。
また生の野菜は消化吸収率が悪く、胃腸不良の原因にもなります。
マクロビオティックでは夏が旬の野菜や果物、生野菜を「陰性の食材」として、なるべく加熱したり、陽性の食材や調理法と組み合わせたりして、バランスを取っています。
食材の陰陽に関しては、東洋医学・マクロビオティックの考え方によるもので、野菜から身体を冷やす成分は見つかっていません。
それでも体の冷えや胃腸不良が気になる人は、ローフードよりも加熱した温かい物を食べるマクロビオティックの方が向いているのではないかと思います。
使用できる食材・調理法が限られる
ローフード……加熱しないと食べにくい食材が食べられない。加熱調理に制限がある。
マクロビオティック……「肉、魚、卵、乳製品を避ける」など食材に制限がある。
ローフードではタンパク質を多く含み、加熱しないと食べにくい肉、魚、卵、豆製品などの摂取が難しいです。
タンパク質が不足すると、基礎代謝の低下を招き、健康な身体の状態を保てません。
肌荒れや体重増加など、美容の面でも注意が必要です。
酵素が破壊されない48度以下であれば加熱しても問題ないとされますが「揚げる」「焼く」「炒める」「電子レンジやオーブンを使う」などの加熱調理法が使えないことが少なくありません。
根野菜やかぼちゃなど、火を通さないと食べにくい食材は避けられてしまうので、栄養バランスも崩しがちです。
全ての食材を生で食べる、生に近い状態で調理するのは、なかなか厳しいのではないでしょうか。
マクロビオティックでは「動物性タンパク質は避ける」として、肉、魚、卵、乳製品などの摂取を避けているので、タンパク質不足になりやすいです。
使う食材も「国産」「未精製」「人工的ではないもの」「陰性、陽性が強すぎないもの」と、ある種の摂取制限が設けられています。
最後に
非加熱で生野菜や果物を多く食べるローフードと、加熱料理で野菜多め、果物少なめのマクロビオティックは、それぞれメリットとデメリットがあります。
ローフード100%またはマクロビオティック100%にこだわった食生活は、栄養バランスが良くなく、体調不良や症状の悪化を招くこともあります。
それぞれの良い所を取り入れながら、自分の身体と食環境に適した食生活を続けていくことが大切です。
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